第7章 残されていた愛 繋がる愛
実を言うと
猗窩座に血を分けている分、食事の量が多い。
言い方が他にも思い付かなくて、猗窩座が機嫌悪くしそうだけど、『乳飲み子を養う母親のようなもの』といえば説明がつく気がする。
少量で間に合ってくれてるのがせめての救いといったところだろうけど、気を抜けば貧血まっしぐらだ。
しかも血を飲まれるだけなら良いのだけど、
唇や舌の感覚、飲まれてる感覚、仕草の色気が強すぎて毎度のこと肌を重ねるし、鍛練で走ることが多い。
いろんな意味で食事の量は増えてお腹もすく。
そして、食事にありつけず、貧血気味になった時に至った発想なのだけど、
猗窩座の血を飲んでも鬼にならないし力もつくということで『力を温存できるのでは』『後に出る副作用が緩和するのでは』との考えに至り、わたしもごく少量だけど猗窩座の血も戴いてる。
血は血だ。
彼のじゃなかったら飲みたくない。
というわけで、二人前の食事が目の前にあるのだけど、
「食べれる気がする。」
と、猗窩座が人の食事にも興味を示した。
「鬼に毒ってそんなに多くないし、解毒も分解も出来るなら挑戦してみても大丈夫ですよ。」
「それで桜華のからだの負担も軽減されると良いんだが……」
「焦らずにゆっくりで良いです。わたしは頑丈ですから。からだが求めるものを摂りましょう?」
「助けられてばかりだな。」
多大な罰を受けて鬼の世界にとどまる事も出来たし、半永久的な命も捨て、わたしから離れたら命が危ないという状況を選んでまで一緒にいてくれる。
助かってるのはわたしの方。
それなのに彼は自分が選択したことの重みも、どれだけわたしが救われているのかもまるでわかってない。
「お互い様です。あなたが何気なくしてくださることで嬉しいことも、勇気付けられることも沢山あります。
命を懸けてわたしと居てくださることだけをとっても、すごく感謝と恩義を感じています。」
口先だけでなにも成せてない人じゃないし
もっと自信をもって欲しい。
猗窩座はわたしを見たまま固まってしまった。
「さぁ、戴いてみましょう。人間に戻っていくの楽しみです。」
「あぁ。」
「「いただきます。」」
お互い、白米を口にする。
わたしは猗窩座を見つめた。