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【風雷暴シリーズ】ゾンビマン夢【サンプル集】

第3章 ■その手に触れたいという欲■


■その手に触れたいという欲■
(風雷暴見聞録ゾンビマン恋人)

『手を出して』
「……」

夕方のZ市。サイタマや私達以外が通ることのない、アスファルト舗装のど真ん中。アスファルトには私とゾンビマンのふたつの影が延びている。"手を出して"…私が人通りのある場所からここに来て言った言葉だった。

ゾンビマンは10年前から知っている。昔は私が懐き、頼れる存在だった人。特別な感情が湧き上がり、恋人という関係になったのはごく最近の話だ。
ゾンビマンは性欲があり、肉体関係をほのめかす事をするが、今の所キスまでの関係。強引に事を進める事はしない、きちんとした恋人だ。
私としてはキスだけでも充分に愛情が伝わっている。
けれど、私の教育上、キスに至るまでの過程、プラトニックな関係に恋人性を感じていた。これはジーナス博士による、教育の内容でもある。

"まず、友達から。そして手を繋ぐ"

この、手を繋ぐ行為が私にとっての特別な行動だった。恋人としても、過去の思い出としても。
人通りのある状態からずっと悶々としていた。

手を出して。

それは手を繋ぎたい、手に触れたい。触れられたい。
恋人に……ゾンビマンに触れたいという、私からの精一杯の誘い。
目の前の男は、悩みながら固まる。咥えた煙草の灰が落ちそう…あ、今ポロッと落ちた。
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