第2章 ■恥ずかしさの価値観について■
「お前、それは質問の順番逆だろ。
まあいい。また服無くしちまった、警察呼ばれる前に調達しないと、くらいか?」
恥というものが無いらしい。
ため息を吐くのは私の番になったようだ。ため息を吐いて、炭酸控えめの甘いドリンクをストローで吸った。味が薄められた、ファーストフードならではのチープな味が、溶けた氷で更に薄められている。
『ガンホルダーをペニスケースにでもして、最悪の事態に下半身に嵌め込んでろ。あんたは恥という概念を知れ』
「おま、お前もペニスってモロに言ってるがそれは恥ずかしくないのかよ?女だろ、お前はよ。一般的女性は男性器の名称を言わねぇぜ?」
僅かに動揺するゾンビマンは反論してくる。
私のペニスケースという言葉に反応したらしい。ペニスケースとはかつて昔の文明から離れた部族などで、男性がパンツ代わりに装着するものだ。それを提案して何が悪いんだ、と理解が出来ない。
ポテトを2本、紙袋から引きずり出した。
『何がだ、幼稚な言葉でもなく身体の部位の単語だろ?生殖器露出して恥を感じない方がどうかしてるぞ、ゼンラマンが』
「……いや、もういい」
さらさらと川の水が木の葉をさらって流れていく。
沈黙が訪れてただ、食事に専念した。
恥という概念がないのか、こいつは。
「『(どうかしてる)』」