第7章 激裏■捕食者はどっち?■狼77号と兎66号
けれどもうさぎは不思議なことににやにやとしながら、押さえつけられたまま私を見ている。
気味の悪いやつだなあ。それさえなければ食い付きよく肉にありつけていたのに。
「それを言うなら、お前は俺のモンだ」
にやにやして兎は言う。
はいはい、よくご存知で、食べられてしまえば私の血肉よ。
そう思いながら、獲物の腹に巻くベルトで苦戦をする。なんでこんなにベルトギチギチなんだよ、こいつは!
そんな苦戦をする私を、兎は私を足で絡めてがっしりと抱え込む。やっとの抵抗か、些細な抵抗だ。
でも抵抗だと思っていたらこの兎、予想外の言葉を発した。
「丁度良い、繁殖期だったんだ。お前、メスだしよく見りゃストライクゾーンだしな……ヤらせろ」
『……は?』
とんでもない盛りうさぎだったようだ。
そもそも。私はメスといっても狼であって。相手は兎だ。種族が違う。どっからどう見ても私は狼だってのに、この兎はメスならなんでも良いのか?
ぎちぎちと脚で挟まれた体をよじって抜け出そうにも抜け出せない。
『おっ、狼相手に盛ってんじゃねえよ、変態うさぎっ!』
「オイオイ、俺は変態うさぎって名前じゃねえよ、66号だ。お前はなんて狼だ?」
こいつ狼って分かってるのに求愛してんのかよ…。
こんな盛りうさぎに私の名前をだなんて明かしてどうする。
私はかつての人間の施設から逃げ出す前の、動物実験番号名を口にした。向こうも多分、動物実験施設から逃げ出したんだろう、66号って言ってたし。
『77号……』
「77号か、よし名前も分かったしこれにて"結婚"だな」
結婚、それはすなわち番(つがい)の儀式。番になったらその後は種の繁栄へと繋がっていく。
という事はだ。種の繁栄というと交尾だ。
……なんなんだ?この66号っていうオスうさぎは!
私は絡められて、今じゃ背に草の生える地面、組み敷かれる身となってしまった体でじたばたと暴れるもこのオスうさぎ、私よりも体体格良く、オス故に筋肉質だ。
暴れながらも相手を剥いていたハズが私が剥かれている。どういう事なの……。帯を剥かれた後からはさくさくとインナーや下着と手にかけていっている。
「暴れんじゃねえ、スムーズに交尾が出来ねえだろ」
『いーやーだ!なんで狼が兎なんかと……っ』