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【風雷暴シリーズ】ゾンビマン夢【サンプル集】

第6章 ■パズル■


(欠落の風雷暴ゾンビマン、夫婦)

ズゴゴ…、と紙パックの野菜ジュース(りんご味)のストローを吸う。冷蔵庫から取り出してしばらくするから、時間が経ってちょっとぬるくなっていた。

午後の暖かい陽の光の差し込むリビング。外は冷たい風が吹いてるだろうけれど、私はルームウェア、ゾンビマンは黒いタンクトップにグレーの緩いズボン。部屋の暖房と差し込む日光のおかげで薄着が快適だった。
机には細かい物でやっと形成された脆くて薄い枠縁と、細かい物が散らばっている。
ゾンビマンはソファーに座って覗き込むように、視線をその細かいパーツひとつひとつを見ていく。私は机を挟んだ反対側から中腰で片手に紙パックジュースを持ってその細かいパーツを眺めていた。
真剣に見ている訳じゃない。さり気なくだけれど、真剣に目配せしているゾンビマンを見ている、という下心がある。こういう表情の旦那さんも格好良いので、ふふふ…。
おっ、動きを見せた。手が伸びて一つ摘んで、隣り合ったモノに合わせてる。小さくパコ、という音を立ててまたひとつ絵を繋げていった。

──リビングの机に散らかるのはパズル。

可愛い動物でも、綺麗な風景でもない。協会公式のグッズの試作品で、S級ヒーローの簡略化されたキャラクターの集合図をパズルにした作品だ。その完成図にはゾンビマンも私も描かれている。
パズルはとても小さなパーツだ。勿論角から攻めて、周りだけは完璧だ。A4サイズを横にしたくらいで小さめだけれどそれなりに楽しめている。

「完成したサイズは丁度良いが、ピースが小さいだろ……1センチもあるのか?これ…、」

『最小を謳ってるからね。これがでっかい完成サイズだったら投げ出してるでしょ?』

ソファーに座ったまま、面倒くさいって顔で私を見上げた。
はは、と笑って。

「当たり前だろ、こんなんで時間を食われちゃあ休息もパア…!だ」

手でパア、の部分をジェスチャーし(弾けてるって表現したいのかな)、ゾンビマンの隣に座ろうと移動をし始めた私を目で追っていく。
隣に座ると、パズルに集中していたのを中断させてしまった。ずっと私を見ている。

『でも、私は側に居られる時間が長く感じるから良いかも、なんだけれど?』

パズルはちょっと面倒くさいけれどね!と追加して笑った。
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