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【風雷暴シリーズ】ゾンビマン夢【サンプル集】

第5章 ■セイントバレンタインデー(if)■


(風雷暴シリーズゾンビマン、恋人)

「ねえ、、あなたはやっぱり恋人にチョコレートを贈るの?」
『……はい??』

F市の街中のカフェ。窓際の席に座り、フブキとタツマキとおやつタイムを楽しんでいた。
キャラメルソースの掛かったパフェに夢中だった私にフブキがそう言ってきたものでとてもマヌケな返事をしてしまった。

『ばれ、ん……たいん…』
「フブキ、この原住民はバレンタインというモノを知らないみたいよ」
「そうね、お姉ちゃん。文明に追いついていないという顔をしているわ」
『し、知ってるしっ!』

バニラアイスをほじくるスプーンから手を離し、机に両手をたんたんっ、と叩いて否定した。
バレンタインデーくらい知ってるやい。

『ただ、今までは指くわえて見てる側だったってワケで……、ほら、野生食だとか、半額品とか食べてる人間からしたらチョコレートってそう手を出せないし…』

姉妹の哀れみの視線。
その視線は止めて下さい、確実に効きます……。
ホットレモンティーに口を付けるフブキは少しだけ考えてる様で、タツマキはストロベリーソースの掛かったサンデーにスプーンを突っ込んでカチャカチャと食べている。
……フブキの方が姉に見える、とは口が避けても言えない。

「まあ、今までの事情は今までの事、ね?で、バレンタインデーそのものの意味は分かっているのよね?まさか、チョコレートの日なんて思ってないわよね?」
『……恋人とかにチョコレート贈るやつでしょ?』
「食べ物贈呈の日と変わらない言い方ね……」
『違うの?』
「は恋人が居るとして、フブキ。あなたもしかしてチョコレートを贈る相手が居たりするのかしら?」

スプーンを止めるタツマキはじとっとした目でフブキを見ている。
フブキは焦ることなく、腕を組み鼻で笑った。

「もちろん、フブキ組の皆によ!別に恋人じゃなくとも友人や同僚だって贈って良いもの。要は、大切な人に贈るのが近年のトレンドじゃない」

へぇ、と私とタツマキの声が被り、同じタイミングでスプーンを取ってアイスをほじって口に運んでいる。
斜め前のタツマキからチョコレートアイスをほじくられたので、お返しにストロベリーアイスをほじくり返した。
互いに文句はない。アイスのトレードが成立している。
そんな光景と、沈黙にフブキは戸惑っていた。
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