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【被虐のノエル】明日を笑うレモンキャンディ【リベリオ】

第1章 明日を笑うレモンキャンディ


プツプツと泡立つミルクにココアをガサガサと入れて、溶かしていく。それをただじっと見ている少尉。単純な調理であるのに緊張する。何か私しましたか、少尉。

「夜食にしては随分と豪勢だな」

『夜食というかディナータイムですかね』

「ディナー…?夕メシにしては偏食すぎるだろ。OCTに居るのならちゃんとした食事を摂れよ、いざという時に力が出ねぇぞ」

私のマグカップの隣にコン、とカップが置かれる。
振り向くと隣に立つ少尉が鍋から私に視線を移して見つめる。給湯室は狭い方で距離が近い。

『な、何か?』
「俺もお前と同じので頼む」
『私が作ってるのはココアですよ?別口でコーヒー作ります?』
「いや…ココアで良い」

ココア飲むんだ……結構、やんちゃな顔なのに…と、追加でミルクを少し足して粉をまた入れて先に溶かす。
良く溶かした濃厚なココアに、牛乳を注いで完成を待つ。
ぐう、とお腹が鳴り恥ずかしくもいくつかあるお菓子の、開封済みのクッキーを一枚食べた。とりあえず音を抑えなくては。
静かな空間に、時計の秒針と、少尉の堪える笑い声が聞こえる。

『……仕方ないじゃないですか、事務作業に今まで手こずってて食事を摂りそこねたんですから。それに、手持ちの食料もなくてお菓子しか食べるものが無いんですもん』
「腹が減ったのは仕方ねぇ。だ、だからって、こんな子供じみたメシはねぇだろ……っ、クク……腹の音、でかいな、お前」
『今の音は忘れて下さい』
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