【被虐のノエル】明日を笑うレモンキャンディ【リベリオ】
第1章 明日を笑うレモンキャンディ
いくらなんでも笑い過ぎでは無いだろうか、と思うけど普段こんなに笑っている所を見たことがないので新鮮さがある。
年相応のらしさ、というか。また違う一面を見られたというか。
ココアが出来た様なので、火を止める。少尉も笑うのを止めて側でじっと見ている。
『笑いすぎですよ、成人してもそういうやらかすことはあるんですよ』
「あ?って成人していたっけか?」
『少尉より2つ上ですが、本日のディナーはこちらに並ぶお菓子でございます』
「まじかよ、年下だと思ってだわ……レーション…は今はねぇな、腹の足しに飴やるか?」
この人は馬鹿にしてるんだろうか、と思いながら結構ですと断る。
カップにココアを分け、給湯室の台に置く。狭いここにはテーブルも椅子もなく、立ちながらの夕食だ。
「で、なんの事務作業してたんだ?」
熱そうにふぅふぅと息を吹きながら少しずつ飲んでいる少尉。
私の事務作業がこんな時間まで延びたことを気にしているようだ。
『……ドラットン総隊長の破壊した民家などの報告書や、一般人の怪我の被害届とかが主にですかね。毎度毎度、処理が大変なんですけど、被害は抑えられないんですかね?』
「あー……すまん。その件は俺も関わっていたな」
あんたもか。なら少しはあの破壊神をなんとか止めてくれよ、という視線を込めてチョコチップクッキーを齧った。
視線を合わせないように天井だとかそっちを見て少尉はまた一口ココアを飲んだ。
「……ん、これやる」
『飴、ですか?さっき言ってた……。それは私よりもスピカに差し上げてください。私が頂いても子供じみたメシ度が上がるだけですから』
手の上に載せて差し出された飴を、手ごと押しのけると素直に引っ込む。
「……じゃあ、後でメシおごってやるよ」
『ええ?少尉がですか?』