第78章 真実の絶望
蘭side
誠人「う、嘘だ!あの村長が奥さんを殺すわけない!だって村長の癌は良性で、癌を告知され自暴自棄になったっていう動機は嘘っぱちだったじゃないか!」
新一「その癌の告知の後に発覚してしまったんですよ。別の問題が、本人はずっとO型だと思い込んでいた日原村長の血液型が…検査の結果、実はAB型だったという事が…」
小五郎「ちょっと待て!確か日原村長の家は、おおらかなO型家族だったって」
新一「ええ。メンデルの遺伝の法則によるとAB型とO型からはO型は生まれない。つまり大樹くんは日原村長の息子ではないって事ですよ…」
誠人「そんな…」
貴「それは事実だ、その時の看護師さんに結果をもらってきたんだ」
服部「!」
蘭「れ、怜花!?」
刺されたはずの怜花は、萌さんにおんぶされながら現れる
事実を知った萌さんは暗い表情で
和葉「だ、大丈夫なん?背中は…」
貴「幸い深くは刺されてないから動かなきゃ平気。私も、気になってたから、新一が推理ミスをしたのか…」
新一「…怜花」
貴「ほい。これが真実だ」
誠人「…」
警部「殺人の動機を癌の告知によるものだと公表したんだ……まさかその後、事情を知らない看護師が良性の癌だったとバラすとは思わなかったがな…」
誠人「…で、でも!だったら何でそれを僕に話してくれなかったんだ!?家族の一員だったのに!!」
城山「話したはずですよ…工藤君に頼まれましたから…他言無用な話だが、君だけには真実を伝えておいてくれと…」
誠人「い、いつ!?どこで僕に…!?」
城山「工藤君が捜査を終えて帰った夜にここで。でも今思えば…先に話した日原村長の無理心中だという真相があまりに衝撃的過ぎて…君は上の空だったのかも…」
誠人「そ、そんな…何なんだ僕は…一体何のために顔まで変えて…何だったんだよ……関係のない君にまで、巻き込んで…………ごめんなさいっ…」
誠人さんは真実を知り泣き崩れながら、怜花に何度も謝る
この事件はあまりにも不幸な偶然が招いた悲劇だった
☆☆
貴方side
帰り道、私達は帰る準備をする為旅館へ向かっていた