第9章 chapter9
帰り道事故の影響で渋滞に捕まり、宮城に入った時にはかなり遅い時間になっていた。
「歩、携帯出して家に電話しな。私が説明してあげるから」
「あ、はい!」
私は携帯を取り出し、母に電話をかけた。
「もしもし、あ、お母さん、ごめん遅くなって、うん、ちょっと待ってね」
そう言ってスピーカーボタンを押す
「夜分すみません、事故でかなり渋滞してて、今宮城に入ったとこなんですけど、近所迷惑な時間に到着すると思うので、娘さん私の家に一晩泊めて、明日送りますね」
と冴子姉さんは説明してくれた。
ー田中家
「あの…すみません、お邪魔じゃないですか?」
「ぜんっぜん!それにね…龍の友達がよく来るから、夕も力もみんな弟みたいなもんだけど、妹を可愛がりたい気持ちがあんのよ」
「冴子姉さん…ほんとカッコいいです。一生ついていきます!」
「あはは、そーだ歩着替えも化粧品も私の適当に使ってくれていいからね」
「ありがとうございます」
私たちは気がつけば相当疲れていたようで
すぐに眠ってしまった
ー翌日
烏野バレー部の一行は夕方宮城県に到着した
「ただいまー
って君はまさか月島の彼女!」
私は冴子姉さんと意気投合してしまい、田中さんが帰ってくるまで居座ってしまっていた。
「お、お邪魔してます!橘歩と言います!田中さんお疲れ様でした」
「ぬわ…東京体育館でチラッと見かけたけど、本当に月島の彼女なの?」
「あ…はい」
田中さんが遠くを見つめる
「はぁ…いいよなぁ…ずりぃ。月島だけ。こんな可愛い彼女に東京まで応援しにきてもらうとか…許せん」
「な、なんかすみません」
「いんや、俺なんて‥」
何だか意味ありげな声のトーン
「田中さん、なんかありました?」
私が聞くとギクっとした顔をして静かに話し始めた
「好きな人に好いてもらうってすごいことだよな
俺は脈ナシだからさ、ハハハ」