第9章 chapter9
「?」
「月島みたいなイケメンに告白されるような、可愛い子には分かんないよ、こんな俺みたいなやつの…
「田中さんの好きな人は近くにいる人ですか?」
私のかぶせ気味の質問に田中さんは一瞬怯む
「おお…ってまぁお前他校だから言うけど、ホントのところ、うちのマネージャーの潔子さんに本気なんだ」
「へぇ!潔子さん潔子さんて冗談で言ってるのかと思ったら、本気だったのか」
冴子姉さんも驚く
「いや、俺自身もマジだって自覚したのは最近で。でもやっぱり相手にされてないんだろーなって、脈なしで死んでるっていうか」
「今から私の話してもいいですか?」
「おぅ…」
「蛍くんを好きになったのは私の方です。しかも一目惚れで、学年も名前も知らなかった」
「え、そうなの?」
「ヒュー 蛍 色男だねー」
「で、どうやって会えるかって思って私、宮城県の選抜合宿に乗り込みました」
「ん?それは誰の話?選抜合宿に乗り込んだのは日向の話?」
「いいえ!私です!」
田中姉弟が目を丸くする
「だから田中さんが羨ましい。同じ学校で同じ部活で…そんなのいくらでもチャンスあるじゃないですか!全然死んでないです!」
「歩…あんた案外ぶっ飛んでるね」
「しかも青城の先輩には変態ストーカーって言われました」
「アッハッハ!なんかもうお前すごいな、めちゃくちゃ気が楽になったわ!で、誰に言われたの?」
「変態ストーカーですか?及川さんです」
「及川ってあの腕もげサーブの?」
冴子さんが聞いてくる
「腕もげ(笑)他校に腕もげとか思われてて及川さんザマーミロです!私は五体バラバラサーブって呼んでますけど」
田中姉弟が転げ回る
「アハハハ!歩ほんと最高だよ、またいつでもおいでね」
「月島と喧嘩したらいつでも話聞いてやるからな!俺のことは龍兄って呼んでいいから」
「龍兄!」
「くぁー!妹最高!!」
「でも龍兄、ほんとに誰にもとられたくないなら、真剣に伝えたほうがいいと思う。誠実に伝えれば誠実に応えてくれるはずですから、ジョークにしちゃダメですよ。
あと…私の変態ストーカーの件は内密にお願いします」
冴子さんに送ってもらって家に帰る
龍兄…潔子さんとうまくいけばいいな…