第8章 chapter8
ー歩side
蛍くんは無言で私の手を握り早足で歩く
私より20cm以上高い蛍くんについて行こうと小走りになる
ああ そうだよね
分かってはいたけど蛍くんもやっぱり
ちっちゃくて可愛い子が好きなんだな
例えば烏野のマネージャーみたいな子かな
小さい子は可愛い仕草してても可愛いもんな
私はいつも男の子たちに言われてた
頼りになる 一人で何でもできそう
褒め言葉のようで女の子には別に嬉しくない
それより蛍くんが前好きだった子ってどんな子かな
烏野にいるのかな…
「ねぇ さっきの気にしてる?」
「え?」
「山口が言ったこと」
まさにずっとそれを考えてたよ
「うん…」
蛍くんはピタッと足を止める
「じゃあ歩は背が高い人が好きなの?」
「ううん、蛍くんが好き」
「あの準決勝の日、体育館にはボクより高い人いっぱいいたでしょ?」
「知らない、蛍くんしか見てないから」
「それと一緒、歩の身長が高いとか低いとか、関係ないし、他の子の身長なんか知らない。あとあんまり可愛いことばっかり言ってると外で犯すよ」
ボンっと顔が真っ赤になる
「もうっ!」
私たちは手を繋ぎながら歩いた
「ねぇ蛍くん」
「なに?」
「春高、東京まで見に行っていい?」
「キミ、やりかねないよね」
「だって…」
「何日もあるし宿とかどうすんのさ
大体歩のお母さんが心配するでしょ」
それはそうだけど…
「僕だって来て欲しいけど」
「お母さんに一緒に行ってって頼む」
「いやいや、今度お父さんどうすんのよ」
やだやだやだ
バレーしてる蛍くん見たいの
あの日私を虜にしたコート上の蛍くん
ユニフォームの蛍くん
「納得してなさそうだね じゃあさ…
二日目まで勝てたら三日目に見にきてよ」
!!!
「三日目には兄ちゃんが仕事終わりに来るって言ってたから、
乗せてもらってきなよ
僕は歩のために絶対負けない」
「行く!絶対行く!でもお兄さん迷惑じゃないかな?」
「大丈夫、むしろ喜ぶと思うよ」