第6章 chapter6
-月島side
あれから数回歩と会った
部活が忙しくて学校帰りに数時間ってのがほとんどだけど
コロコロ表情の変わる君を見ているのは本当楽しい
勉強や部活の話をする真剣で真面目なトコ
リアクションが大きくてよく笑うトコ
僕の視線に気がつくと真っ赤になるトコ
でも引っかかることがある
「ねぇ、部活…いつまでやるの?」
「いつまでってどういうこと?」
「だってあんな目に遭ったんだし、普通辞めるでしょ?
それか相手辞めさせなよ」
「うん、それは思ったけど…でも私はプレーヤーでいた時より、みんなのためにコートの外から支える今の仕事が向いてるって思ってて。やりがいもあるし責任もって最後まで続けたい」
「じゃあやっぱり相手に辞めてもらいなよ、僕も心配だし」
うーん…と歯切れの悪い歩
「何なの?ハッキリ言いなよ」
「されたことは許せないし、怖かった。でもね、プレー中の国見は本当に凄いの。こんなことで選抜にまで選ばれて頑張ってる人を…
「待って待って こんなことって何?あんなに泣きながら電話してきたくせに、歩にとって、こんなことだったわけ?」
「いや、そんなつもりじゃ…
「じゃあどんなつもり?君は僕を好きって言ったけど、いつどこでそうなったの?君の気持ちは正直よくわからない。僕ばっかり必死で…なんか疲れる」
そう言って早足で駅に向かった
歩が待ってと言ったけど振り返らなかった
なにもかもイライラする
歩にひどいことしておきながら
のうのうと部活に居座る国見も
あんな目に遭ったくせに、庇ってる上に
才能を素直に褒めたりする歩も
余裕がなくて嫌味ばっかり言う自分も…
好きってこんなに苦しいなら いらない