第2章 例のあの部屋シリーズ② 冨岡義勇の場合
トンっと義勇の肩を小突き、仰向けに倒れこんだところを、すかさず馬乗りになった。
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大きくたわわに揺れる乳房を露わにした姿は、義勇が知っているの姿とはかけ離れていた。
「この部屋を出ないとどうなる?」
「……さあ?たぶん、脱水か飢え死にじゃないかしら」
「それは困るな」
少し眉をしかめる。構わずは義勇の浴衣の帯を解いた。ともすればどこか女性的な美しさとも言える顔立ちと、それとは逆によく鍛えられた体躯がむき出しになる。
「だが、できない」
左ひじを床につけ、体重を支えると上半身を僅かに起こす。
「できない?もしかして不能なの?」
が困った顔をするのが見て取れた。
「違う、そうじゃない。正確には、やった事がない」
表情ひとつ変えず、恥ずかしげもなく義勇は告げた。
「故に、やり方がわからない」
「……………」
彼女の沈黙に、さすがの義勇にも困っているのがわかったが、こればかりはどうしようもない。
だが、彼女は困っていたわけではなかった。
(あ!だから宇髄さまはここによこしたのね!納得納得!)
この部屋のことも、任務も、聞いた時は驚かなかった。敬愛してやまない宇髄が、自分こそ適格だと言ったのだから、その言葉に嘘偽りなどなく、その期待に応えてみせようとすら思った。
ただ、「辛気くさい根暗な知り合い」としか聞いていなかったので、まさか同期の元水柱が来るなんて思いもしなかったし、ましてやこんな告白をされるなんて思ってもいなかった。
驚いたのは一瞬で、あとは順序立てて考えれば、納得のいくものだった。
「わかったわ。ひとつ確認だけど、あなたはこれでいいのかしら?つまり、私が相手で不満はない?って事だけど」
「…………?」
「その沈黙は、肯定として受け取るわね」
実はあまり把握できていないだけだったのだが、言葉で交わすコミュニケーションが苦手な義勇はこういう時にすぐ黙ってしまう。
「んむっ……」
上体を起こしたまま、突然が唇を重ねてきた。彼女のふっくらと温かい唇が、薄くひんやりとした義勇の唇に覆い被さった。
ゆっくりと吸いあげ、上唇を甘く噛むと、義勇がぴくんと体を動かしたのがわかる。引っ込もうとする舌を追いかけ、口内で絡ませる。