第2章 例のあの部屋シリーズ② 冨岡義勇の場合
「私も…私も義勇が好きだった。宇髄さまがそれに気付いて、今回仕組んでくれたんだもの」
「………宇髄が?」
「ええ。きっと、いつまでも一人身で、経験もないのを心配してくださったのよ」
「心外だ」
どこまでも自由な男だ。宇髄天元という男の雲の様につかみ所のない生き様は、それでいて羨ましくもあった。
「いいじゃない。結果的に楽しめたもの。ここを出たらおしまいかもしれないけど」
「いや、終わりじゃない。俺はまたを抱きたい」
義勇が真摯に言ってくる。付き合いたいとかじゃなく、抱きたいというストレートな物言いが彼らしくてクスリと笑ってしまう。
「そうね、考えておく」
「考えなくていい。それにもし孕んでいたら夫婦にもなれる」
「は!?何言ってるの!??」
「間違いではないだろう?」
そんな談笑が続き、しばらくすると、また二人は口づけ、そしてそれは小さな嬌声に変わっていくのであった。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
「……あいつら、いつまでど派手にヤってんだ」
その寝室の前で、元音柱、宇髄天元が呆れ顔でつぶやいた。
最初の性交で術は解け、義勇たちはとっくにこちら側に戻ってきていたのだが、全く気付いていない様子だった。
「……屋敷中に声が響いております」
雛鶴が冷静に答えた。
「うーん!羨ましい!若いって良いわねー!!」
須磨が首をふって楽しそうに叫んだ。
「…須磨ぁ、あんたも十分若いだろ」
ぎろりと横目でまきをが睨んだ。
「そうだな、俺らもど派手に混ぜてもらうか!」
言うや否や、襖をガタンっと爆音を立てるぐらいど派手に開け放つ。
「!??」
完全に義勇が固まってしまう。宇髄が笑い、3人の妻がわいわいし、義勇は黙ってしまう、いつもの光景が広がり、そこにはいつもはいなかったが一緒に恥ずかしそうに義勇に寄り添っていた。