• テキストサイズ

マリージョアの風【ONE PIECE】

第4章 友達




まずは帽子を買いに行こう。


心に残る正体不明の気持ちを振り払うように歩き出す。


別にもう少年の格好をする必要はないけど、なんだかこの長い髪を外に出して歩くのは落ち着かない。


ライによくからかわれたように、確かに珍しい色だと思う。プラチナブロンドとも違う、例えるなら、寒い冬の朝に降りる霜露のような色。


さっき教会を探すときにも時々見られている気がしてそわそわした。考えすぎかもしれないけど。


とにかく、できるだけ早く隠してしまいたい。そう思って、衣服を売っている店を探しながらテクテク歩いていると。


気づけば街の中心街に出ていた。


今まで歩いていた道も決して狭くはなかったけど、さすがに王都の真ん中を突き抜ける通りは、まさに中心街といった様相だった。


こっちに行けば港に出るはずだから…と頭の中で大雑把な地図を広げる。


もしかしてこの道を逆に行くと王宮?
そう思って王宮があるかもしれない方向に目を凝らしてみるけれど、人が多すぎてよく見えない。


…そうなの。
さっきから異常に人が多いのよ。


王都の中心街っていつもこんなに人が多いものなの?そう考えたりもするけれど。


だけど、どうもそういうことじゃない気がする。
だってどう見ても、街の人だけじゃないもん。


兵士が多い。多すぎる。


少し離れて観察していると、港から王宮(があると思う方向)に向かって道を守るように隊を組んでいるのが分かった。


「…何かが始まるの?」


いよいよ不思議に思って、事の成り行きを見守ることにする。


パレードのようだけれど、そこまで盛り上がっている感じでもない。人々の顔に浮かぶのは高揚感というよりもむしろ緊迫感で。



──「それ」は、港の方からやってきた。
ガラガラと車輪の音を響かせながら。



/ 716ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp