第4章 友達
「ええ。その子は私たちが責任を持って預かります。だから、あなたもお疲れ様。よく頑張りましたね」
お日様のような、人を安心させる笑顔だった。
その笑顔を見るとなぜかシスターを思い出した。
ふと初めに気になったことをマザーに聞いてみる。
「あの。マザーはシスター…ローリエさんと知り合いなのですか?」
さっきの話しぶり。
以前から知っているような気がして。
それも一回会ったことがあるとかじゃなくて、もっと近しい間柄。そんな気がする。
マザーは少し楽しそうに笑って答えてくれた。
「ええ。あの子はもともと教会の子なのですよ。私はあの子の母親代わりでした」
えっと…、じゃあ…?
シスターは教会で育って、そのままシスターになったってこと?
マザーとシスターは、今のシスターとあたしのような関係?
「私は教会を出て結婚したらと話したんですけど、あの子は言うこと聞かなくて」
そう言って懐かしそうに笑う。
「そう、だったんですね」
───なんだ。
思わぬ事情を知って笑ってしまった。
なんだ、シスターもあたしと一緒だったんだ。
シスターもあたしと同じように、マザーに結婚しなさいと口酸っぱく言われて。
でもそれでも。
シスターは結局シスターになったのね。
クスクス笑いが止まらない。なんとなく、あたしも同じように突っぱねたら根負けしてくれるような、そんな気がする。
あたしは最後の最後にはシスターの言うことを聞かずにいられないけれど、シスターも最後の最後にはあたしの言うことを理解してくれるじゃないだろうか。
ああ、教会に帰りたい。
早くシスターに会いたくなった。
帰ってから、やっぱりちゃんと話し合ってみよう。
そう決心を固めていると。