第4章 友達
少女に付いて門の中に入ると、そこには子供たちが駆け回るには十分な中庭が広がっていた。
庭がないと思ったけど、ここには中庭があるのね。
珍しくてきょろきょろと見回していると、少女はあたしの方を振り向いて笑う。
「王都は豊かですけれど、何かと物騒なことも多いですから、子供たちは滅多に門の外へは出せませんの」
へぇ。
ミカヅキ島とは大きく違う。
あそこではそもそも庭という概念がなかった。言うなれば島全部が庭で、行ってはいけないところが少しある、という感じ。
ここでは教会の敷地と公共の場がしっかりと区切られているのね。あの大きな鉄の門と、石の壁によって。
コクコクと頷きながら、さらに辺りを見回す。
外からは見るからにどっしりとした門構えだったけれど、中に入ると意外と開放的だった。閉鎖的に感じないのは、思ったより中庭が広いからかな。
故郷の教会と似通っているところも無いではない。例えば、教会の敷地内には建物が二つあるところ。
一つは礼拝堂で、もう一つは門を入って正面にある、礼拝堂よりかなり大きい学校のような建物だった。たぶんあれがシスターと子供たちが生活する建物だろう。
通されるままに中庭を歩き、正面の大きい方の建物に足を踏み入れる。
少女はその中の部屋の一つにあたしを通すと、ソファに座るよう促してふわりとお辞儀をした。
「少し待っていらして。マザーを呼んできますね」