第4章 友達
本島の港は今までのどの島より大きかった。王都があるわけだから当たり前と言えば当たり前なんだろうけど。
こんな大きな港は見たことがなくて、思わず感嘆の声を上げてしまう。側から見ればまさに田舎者って感じだと思うけど、気にしちゃ負けだ。
目に見える範囲でも10隻以上の船が停泊している。しかも全部がものすごく大きい。
今乗ってきた海軍船も大きいと思っていたけど、比じゃないくらいのサイズの商船が何隻もあった。
いつもミカヅキ島へ来る船は小さい部類だったんだ…。ここに来て初めて知る。
港には他にも興味深いものがいっぱいで目移りしそうだったけど。まずはそれよりも。
「…だめだ。先に教会に行かないと」
頭を振ってここへきた目的を思い出す。
腕の中でジョナサンがぐずり出していた。
教会と言えば街外れ。…が鉄則だと思っていたのに、聞くとどうやら王都の教会は街中にあるようだった。
思わず目を丸くしてしまったけど、辺りを見回してまあ確かにと納得する。
港だけでこんなに大きいのに、街外れなんてどれだけ時間がかかるか分かったもんじゃない。
うん、ちょっと、いやかなりありがたいかも。
街中なら迷うこともないはずよね。
そんなことを思いながら街を目指す。
わけだけど…。
そんなに甘くはないことに気付くのは意外と早かった。あたしは王都の広さを全く分かってなかったの。
今まで触れたことがない活気と熱気。
街のあちこちで店が開かれ、広場では大道芸や曲芸などいろんな出し物が行われていた。一つ一つ見ていると冗談じゃなく1日かかりそうなくらい。
そして歩くたびに見つかるいくつもの建物と、いくつもの広場や通り。
何度もそれらを横切っていると、さっきも同じところを通ったような気がしてくる。
統一感を出すためか知らないけれど、似たような建物ばかり並んでいるから余計に、だ。
出会う人々に道を聞いて、やっとのことで教会にたどり着いたのは、港を出発してから優に2時間ほど経ってからだった。