第4章 友達
「…っ…助けてあげたかった…!」
間に合わなかった。
全員殺されてしまったあとだった。
どうしようもないことだけど、それでもどうにかしてあげたかった。
ひたすらに泣きじゃくるあたしを女海兵は何も言わずに見ていた。そして、小さくため息をついた。
「もう少し早く着いていればね…。申し訳ないことをした」
そう言って頭を下げる。
「何の慰めにもならんかも知れないが…私らの代わりに戦ってくれて、ありがとう」
女海兵はそこで初めて少し微笑んだのだった。
厳しい顔だと思ったけど、笑うと目尻にシワができる。人を安心させる笑顔だった。
それにますます泣けてくる。
──あたしは人を殺したんだ。
それがどうしようもない悪党だと分かっていても、それでもこんなにも辛い。
「アンタは人を殺すことの罪をよく分かっている。いい大人になるよ」
ぽんぽんと優しく頭を撫でてくれた。
いつもの夢を思い出した。
あの人もこんな温かい手をしていた。