第24章 暴走
私はルフィの意図を汲み取り、彼らが王宮から戦闘場所を移し視界に入らなくなるや否や、急いでアウラのもとに駆け寄った。
「アウラ...!!」
ぐったりとした彼女の首に手を当てると、弱々しくはあったけどきちんと正しく動いているのが分かった。ひとまずほっと息を吐く。
マンシェリー姫が涙をひとつ落とすと、首についていた痛ましい指の跡が徐々に薄くなっていく。細かった呼吸が正常に戻ったのを確認してから、もう一人の方に視線を向けた。
───彼の方が心配ね。
私はアウラをその場に寝かせて、すぐさまローのもとへ走った。
近くで見ると、彼の状態は思った数倍ひどかった。
身体中から容赦なく血が流れ落ち、地面に赤黒い染みを作っている。呼吸をするたびに喉の奥で低く喘鳴が漏れ、肺か肋骨が損傷しているんだろうと容易に想像がついた。吐血の量から、内臓も無事とは考えにくい。
直視できないほどの傷に自然と眉がよってしまう。
なのに、自分の体のことはどうでもいいように、ローは私に問いただすような視線を向けた。彼が言いたいことを察して、私は先に言葉を返す。
「アウラなら無事よ。状況ならあなたの方がよっぽど深刻だわ」
「…そうか」
ローはそれを聞くと、ふっと体の力を抜いて目を閉じた。その様子があまりにも無防備に見えて、少し驚く。信頼してくれているということかしら。もしくは、それほど限界だったのかもしれない。
───この人は、これ以上戦わない方がいい。
予想以上にローが負傷していることを知り、私は考えを改めた。彼の戦力を失うのは惜しいけれど、そうも言ってられない。
マンシェリー姫の涙が一雫落ちるごとに、段々とローの顔色が良くなり、呼吸が整っていくのが分かった。けれど、決して安心できるわけではなかった。
チユチユの実の能力は、あらゆる傷や痛み、疲労を一時的に超回復させることができる。ただし、効果が続くのは短時間だけ。切れるとまた痛みや疲労と戦わなければいけない。一度死線を彷徨った彼の場合、無理をすれば、本当に命を落としかねないのだ。