第24章 暴走
だけど、いくらローに似合わないと思われたとしても、今日ばかりはあの水着のような服が正解だったのかも。ドレスローザがこんなに暑い国だなんて、思わなかった。
いや、ちがうな。
悪魔の実の能力がこんなに体力を消耗するなんて、知らなかった。この島を出たら真剣に体を鍛えることを考えた方が良さそうだ。
ドレスローザの地下で壁にもたれて座りながら、そんなことをつらつらと考えていた時。
ふと、薄暗い通路の先から光が漏れていることに気づいた。
なんだろう?
地上の光とも違うような…。
ちょっと迷ったけど、立ち上がって見に行ってみることにする。
通路の先にあったのは、あたしが両手を広げたほどの大きさのスクリーンだった。画面には、この上にあるだろうコロシアムの映像が映し出されている。
おそらく交易港で働く人が見るためだろう。情報収集のためか娯楽のためか、目的は分かんないけど。
画面に映ったコロシアムは、それはもうひどい有様だった。
フィールドはもとが平坦な地面だったことを疑うほどバキバキに割られていたし、その被害は闘魚の泳ぐ堀を飛び越えて周りの観客席にまで及んでいた。
凄まじい戦闘が繰り広げられたことは容易にわかる。
そういえば、サボはここで勝ったからあの実を手に入れたのよね…。
ついさっき、へらりと笑っていた男の顔を思い出して、なんとも言えない気持ちで画面を眺めていると。
「なに?」
一瞬、あたしの目がおかしくなったのかと思った。
映し出された画面が突然、ぱちぱちと点滅しはじめたのだ。
映像電伝虫の具合が悪いんだろうか?
それとも、他の電伝虫の電波を受信した、とか?
ちょっと怪しんでその画面を見ていたあたしは、次に映し出されたものを見てはっと息を呑んだ。