第24章 暴走
ロビンとレオと別れてからすぐに、あたしは城がある方角に背を向けて歩き出した。トリカゴの時間があるから立ち止まってる暇はない。急がなきゃ。
気持ちは今すぐにでも風になってこのフロアを駆け抜けたいくらい。…だけど。
「…すぐに行くって言ったけど、これはやっぱり、回復が先かも」
マンシェリー姫を探すために消耗した体力は、まだ完全には回復していなかった。歩を進めるたびに次第に息があがってくるのを感じながら、あたしは唇を噛んだ。
地下と言っても、ドレスローザの熱い地面の下は決して涼しいとは言えない。
頬を撫でる風は生ぬるく、回復しつつあった体力を容赦なく奪い去っていく。あんなにあたしに力を貸してくれた風も、今ばかりはあたしの味方になってくれそうになかった。
「…っ、」
交易港から伸びる通路のうちの一つを選び、すこし歩いたところで、あたしはついにその場に座り込んでしまった。
情けなくてため息が出る。あの力を使うタイミングは少し考えた方がよさそうだ。
ぱたぱたと手で仰ぎながら、あたしは自分の着ている服を見て、もっと薄着にすればよかったと反省した。
ショートパンツに半袖Tシャツという涼しい格好をしているのに、それでもじっとりと汗が滲んでくる。