第24章 暴走
「ロビン、行ってあげて。マンシェリー姫が待ってるの」
早く、助けに行ってあげて。
あたしは、そこへは行けないから。
「あなたを一人にはできないわ」
ロビンはきっぱりと言った。
だけどあたしの意思も固かった。
小さな女の子。
あんなに泣いて。
ひとりぼっちで地下に閉じ込められて。
きっと、心細くてたまらないだろう。
「ありがとう。でも、ほんとに大丈夫。あたし、スマイルの製造工場に行ってみようと思うの。麦わらの誰かがそこにいるんでしょう?」
「ええ、フランキーがいると思うわ」
「トンタッタ族の仲間たちもそこにいるれす!」
「やっぱり。じゃあ、ちょっと休憩してからあたしもそこに行ってみるね」
きっとそこなら、あの人の気配を辿らずに済むから。あたしが役に立てる場所があるとするなら、それはあの人から一番遠い場所だった。
まだ心配そうなロビンに向かって、微笑んでみせる。
「大丈夫よ、ロビン。ここからならすぐにフランキーたちと合流できると思うから。…それにね。あたしも、誰かの力になりたいの。守られてばっかりなのは性に合わない。この力でできることを自分で探してみるよ」
「…そう」
あたしの意思が固いことを悟ったのか、ロビンはふぅと小さく息を吐いた。それから、真剣な目であたしを見つめる。
「だけどアウラ。これだけは覚えていて」
「なに?」
「誰かの助けになりたいと言うなら、まずはあなたが無事でいることを一番に考えなさい」
言われた意味がわからなくて、きょとんと首を傾げる。ロビンはそんなあたしを見て、
「それだけで救われる人もいるということよ」
そう言って、意味深に笑ったのだった。