第24章 暴走
──それにしても。
あたしは小人族との初めての対面に一通り驚ききってから、改めて彼がどこにいるのかに気づく。
──この子は、なんというところに…。
恐れ多くも絶世の美女の胸元に、体の半分ほども埋まったまんまの格好で、堂々と話す彼。
それ、老若男女問わず、全人類が羨ましがる状況ってわかってる?って言いたくもなるけれど。
レオはふかふか柔らかそうな地肌に手をつき、身を乗り出すようにしてあたしを見つめる。
───だけど、やっぱり。
〜〜〜っ、あーー、かわいい…!!!
そんなこともどうでもいいと思えるくらい彼が愛らしいのだから、もう、どうしようもない。
あたしはすっかりこの小人にめろめろだった。
「さっきのお話聞こえていました。しろい大人間は、お城にいったんれすか?」
…ん?って、ちょっと待って。
今なんて?
「し、しろ…?それってあたしのこと…?」
「そうれす!」
勢いよく頷かれ、あたしはしばし黙り込む。
しろ…はまあ、なんとなく分かる。
大人間は、つまりヒトのことかな。
あたしたちが彼らを小人と呼んでいるわけだから、逆からしてみれば確かに"大きい人"であるのは間違いない。
レオはあたしに名乗る隙も与えず、さらに質問を重ねた。
「しろい大人間は、城でマンシェリー姫を見かけなかったれすか?」
………まんしぇりー、ひめ……?
「………おひめさま…?」
「はい、トンタッタ族の姫れす!」
レオはあたしがピンときていないのを見て、少し語気を強めた。
「わがままで気まぐれでおこりん坊な姫れす。ドフラミンゴに捕まってから、ずっと帰ってきていないんれす。お城の地下にいるはずなんれすが」
一瞬、ちょっとあんまりな言いようなんじゃ…?とは思ったけれど、レオが心配していることはちゃんと伝わった。
「きっと、泣いていると思うんれす」
そういった彼の目がとても真剣だったから。