第24章 暴走
「そういえば、ロビンこそどうしてここに?しかも1人で」
サボとコアラが去り静寂が訪れたフロアで、あたしは改めてロビンと向かい合った。
彼女がウソップと一緒に王の台地に行かなかったのはどうして?この地下にいったい何の用があったんだろう。
ロビンはその端正な顔に艶やかな微笑みを浮かべ、驚くようなことを口にする。
「あら、1人じゃないわ」
「え?」
どう見たって一人じゃない…。
あたしのこと、からかっているの?
あたしが怪訝な顔をしたのを見て、彼女はウフフと笑う。そして少し視線を落とした。
「レオ、この人は味方よ。出てきていいわ」
その声に反応して、彼女の豊満な胸の谷間からひょっこりと顔を覗かせたのは。
「はじめまして。トンタッタ族のレオというれす!」
若草色の帽子を頭に乗せ、つんと尖った鼻をめいいっぱいそらしてあたしを見上げている。手のひらほどのサイズの小さな小さなひと。
丸いつぶらな瞳と目が合うと、あたしはそのあまりの愛くるしさに思わず口元を押さえてしまった。
「か、かわいい!!」
小人族というものがこの世にいるのは知っていたけれど、いざ目の前にしてみると可愛い以外の言葉が見つからない。聡明そうな額も、きりりと寄せられた眉も、ふっくら柔らかそうなほっぺも全部、豆つぶほどの大きさしかなくて、まるでお人形のよう。
彼を見つめていると、ふと思い出したことがあった。
「あれ?ちょっと待って。そういえばさっきまで、このフロアにもたくさんいたような…」
視界の端っこに小さな小さな戦士を捉えていた気がする。いつのまにか見えなくなっていたから、見間違いだったのかと思ったけれど。
「ぜんぶトンタッタ族の戦士れす!ドフラミンゴに立ち向かうために立ち上がったのれす!」
小人族の彼は、小さな体の割に思いの外ハキハキと大きな声で答えた。
…なるほど。
じゃあやっぱり、さっきのは見間違いじゃなかったのね。