第23章 ゲーム(Ⅱ)
「心配しなくていいわ。あなたの濡れた瞳、魅惑的でいつもよりさらに美しいくらいだから………って、あら?それとも、これは心配しないといけないのかしら」
最後はなにやら考えこむように眉をひそめた彼女。
何を心配するのか分かんないけど、目元に触れるロビンの指先がひんやりと気持ちよくて、あたしは自然と目を閉じる。
「ロビンの手、つめたくて気持ちいい」
「……アウラ、お願いだから男の人の前ではこういうことしないでね」
「こういうことって?」
目を開けてぱちくりと見つめると、彼女は眉尻を下げて笑った。
「本当に困った人ね。彼が過保護になるのも、分かる気がするわ」
「へ?」
「気にしないで」
ロビンはゆるりと首を振り、ふと、あたしの後ろに視線をやった。
「ところで、あなたは一人でここに来たの?」
なんとなく濁された気がしなくもないけれど、あたしもつられて後ろを振り返る。
「ううん、違うよ。さっきまでそこに…」
サボとコアラの話はもう終わっただろうか?
戻っても、大丈夫かな。
遠くから様子を窺うくらいなら、きっと大丈夫よね。ロビンに会ったこと言わなきゃいけないし。
話が耳に入ってこないように注意しながら、ロビンの手を引いて一つ前のフロアまで戻ってみる。
するとそこには、さっきと全く同じ位置で話し込んでいる2人の姿があった。
彼らに声をかけようと口を開く。だけど、
「サボ!!コアラ!!」
あたしが音を発するより先に、隣から嬉しそうな声が飛んだ。
「お?ロビンか!!久しぶりだなァ!」
「ロビンさーーーーーん!!会いたかったよー!!」
ロビンの声に反応して振り返った2人。
どちらの顔も、心底嬉しそうで。
コアラはそのままロビンに駆け寄り、ちょうどさっきのあたしと同じように、彼女に抱きついた。サボは抱きつきこそしなかったけど、嬉しさと懐かしさの入り混じったような表情でにっこりとロビンに笑いかける。
どういうこと?
3人は知り合い?なの?
あたしだけが、状況についていけない。
あっけに取られて見つめていると、ロビンがあたしに気付き、笑いながら説明してくれた。
なぜ、革命軍と知り合いなのか。
──麦わらの一味が姿を消していた、あの2年間のことを。