第23章 ゲーム(Ⅱ)
今日いろんな事を知ったから、敏感になっているだけなんだろうか?
考えすぎ?
そうであれば、いいのだけど。
それから、彼らがしきりに言っていた言葉。
『"それ"が何か分かってねェのか?』
『"それ"は必ず回収する。今は、その時じゃないと言ってるんだ』
何かを回収しないといけないらしい。
だけどそれは、今じゃない。
「"それ"って、一体なんなのよ…」
小さくつぶやいてから、ため息をつく。
やっぱり、いくら考えても答えは出そうになかった。
──サボが教えてくれるとは思えないけど、後でもう一回聞いてみよう。
今のところ手がかりは彼しかないのだから。
そんなことを考えながら、交易港を出て、てくてく歩いていると。
決して見通しがいいとは言えない薄暗い通路に、見知った背中を発見した。
あれっ…?
あの後ろ姿は…!
「ロビン!!」
思わず声を上げて、たんっと地面を蹴る。そして、その勢いのまま、振り返った彼女の腕の中に飛び込んだ。
「アウラ…!?」
驚きながらも、ロビンはしっかりとあたしを受け止めてくれた。
「よかった、戻って来れたのね。ドフラミンゴに何もされなかった?」
「うん、だいじょう……あれっ?どうしてロビンがそれを?」
「ナミが電伝虫で教えてくれたの。無事だってこと、みんなにも知らせなきゃいけないわね」
あたしが城にいたことを知っているのは、あの時船にいた人だけだと思ってた。だけど、どうやらそうじゃなかったみたいだ。
「…心配かけてごめん」
「あなたが無事なら、問題ないわ」
ロビンはそう言ってにっこりと笑う。ああやっぱり、彼女のカッコ良さにはいつもくらくらしてしまう。
すると、ロビンはふとあたしの目元に触れて、心配そうな表情をつくった。
「アウラ、本当に大丈夫だった?その目……泣いたのかしら」
「大丈夫だよ。けがもしてないんだけど。もしかして、赤くなってる…?」
「少しだけ」
そっか…。
あれだけ泣き崩れてたもんね。
泣き腫らした顔で今までみんなと喋っていたのかと思うと、今更になってちょっと恥ずかしくなる。頬が熱ってくるのが分かって、思わず目を伏せる。ロビンはふふ、と柔らかく笑った。