第23章 ゲーム(Ⅱ)
「ちょっとサボくん!!いったいあの人をどこから攫ってきたの!?」
「攫ってねェよ。人聞き悪いな」
「じゃあ、どこであんな…っ、人とお知り合いになったのよ!てっきり、ルフィくんのところに行ったのかと思ってた!ちがったの!?」
「いや、合ってるよ。こいつがルフィと一緒に城から逃げてきたところに、ばったり会ったんだ」
「城!?いま城って言った?」
「あぁ。この上にでけェのがあるだろ。ドフラミンゴに追われてるらしい」
「ドフラミンゴに!?なんで!?ねぇ、まさか、この国のお姫様なんて言うんじゃ…!?」
そんな会話が聞こえてきて、
「ちがうちがう!!そんなんじゃない!!」
あたしは慌てて割って入る。黙って聞いていたら、どんどん話があらぬ方向にいきそうだ。
何がどうして姫なんてワードが出てくることになるの。サボも、知ってるんだからもう少しちゃんと話してくれればいいのに。あまりにも説明がなさすぎる。
あたしは、初めて会ったそのコアラという少女に、さっきみんなにしたような自己紹介を、もう一度丁寧にすることになった。
そもそもはローの知り合いだということ。麦わらの一味と出会い、成り行きでドレスローザにきたこと。そしたら思いがけないことにドフラミンゴの血縁だということが判明したこと。
ドフラミンゴの妹ではあるけど、決して仲間ではない、というところはやはり力を込めて説明した。
「ふーん。じゃ、ほんとにお姫さまってわけじゃないんだ」
一通り話を聞いたあとも、コアラはまだ半信半疑といったふうだったけれど、あたしの真剣な様子に押されたのか、最後にはとうとうそんな言葉をつぶやいた。
「うん。どうしてそんなふうに思ったの?」
「どうしてってそりゃ…」
コアラはまじまじとあたしを見つめた後、どういうわけか、ふぅと息を吐いた。それから、隣に視線を移す。
「なんでサボくんは平然としていられるの。私こんな人出会ったことないよ…」
何やらぶつぶつと呟いていたけれど、サボから返事はなかったから、それが聞こえていたのかどうかは謎だった。