第23章 ゲーム(Ⅱ)
「なんだったの…?」
男たちが完全にフロアから消え去ったのを見届けてから、あたしは思わずつぶやく。
急に気が変わったのはなんでだろう?
革命軍を敵にまわすのが怖くなった?
……いや、たぶん違う。
あの男が納得したのは、最後の言葉を聞いてからだ。
白い仮面の男が、"あの方"は全てを知っていると言っていた。そして、ゲームはまだ続いている、とも。
ゲームってなんだろう…?
ドフラミンゴが始めたゲームのことなら、確かにまだ終わっていない。
だけど、もし彼らがそのことを言っているのであれば、ますます諦めて去った理由がわからない。目の前には、3億ベリーの男がいたのだから。
それに、"あの方"って誰のことだろう…。
その人は、何を知っているんだろう…。
疑問は次々と湧いてくるけど、考えても答えが見つかるとは思えなかった。ここは、ラッキーだったと思って先に進んだほうがよさそうだ。
気づけば、体力が随分回復していた。頭の奥にはまだにぶい痛みが残っていたけど、我慢できないほどではない。
あたしはさっき危ないところを救ってもらったことを思い出し、目の前の背中に声をかける。
「サボ、助けてくれてありがとう」
背中からは返事がない。
振り返る様子もない。
「………サボ?」
まわり込んで、顔を覗き込んでみると、その人はいつになく険しい顔をして黙り込んでいた。
「どうしたの?そんなにこわい顔をして」
「え?ああ、いや。すまん。何でもない」
サボはハッとしたように、あたしを見る。
「何か気になることでもあった?さっきの男たちが言ってたこと、あたし、全然分かんなかったんだけど…」
「いや、別にたいしたことじゃない」
そして、取り繕うように、にっと笑った。
「お前が無事でよかった。さぁ、行くか」
それは、思わずうん、と頷いてしまいそうになるくらい爽やかな笑顔だったけれど。
その笑顔にあっさりごまかされるあたしではない。
──明らかに仮面の男たちの言葉に引っかかっていた様子だったじゃないの。何か知っていることがあるんでしょう。
どうしてあんなに真剣な顔をしていたのか、もう一度聞いてみようと思ったその時。