第23章 ゲーム(Ⅱ)
もちろん、サボは簡単にはやられたりしないと思う。出会ってばかりけど、彼が肩書き通りの、いやむしろそれ以上の実力を兼ね備えていることは分かった。
だけど、今はどう考えても部が悪い。
相手は複数人で、おそらく全員かなりの手だれ。おまけに、今は後ろにあたしという足手まといまでいる。
サボはどうする気だろう?
勝算はあるのかな…。仮面男たちのことを知ってるふうだったけど…。
……あれ?
そう言えば、サボは彼らのことをなんで呼んでたっけ。たしか…。
「なんだっけ、CP…?」
思い出しながら、小さくつぶやいてみると、
「サイファーポール"イージス"ゼロ、通称CP0。──天竜人の直属部隊だ」
どうやら声が聞こえたらしい。
答えはあたしの前に立つ背から返された。
急いで頭の中を引っ掻き回して、あたしは思い出した。その言葉をどこで聞いたかを。
──そうだ。
はるか昔、あたしがパンクハザードの研究所にいた頃。
あたしを迎えにきて、マリージョアに連れて行った彼ら。真っ白の衣装に身を包んだあの男たちは、確か、CP0と呼ばれていなかったっけ…。
多分…いや、絶対そうだ。
思い返せば、日記にもそう書いてあった気がする。
目の前の彼らがあの時の男たちと同一人物なのかは分からない。だけど、天竜人に関係すると言うなら、少なくとも同じ組織に属しているのは間違いなさそうだ。
思い出している間にも、場の緊迫感は増していく。あたしを攻撃しようとした男──赤と白のストライプ柄のハットを被ったその男は、明らかにサボを敵認定していたし、サボも当然そのつもりのようだった。
どちらが動いてもおかしくない。
一触即発、と思われた。