第23章 ゲーム(Ⅱ)
「お前は!!!」
「おい!!ここにヤツがいるぞ!!」
声が聞こえた方を見ると、剣闘士の格好をした男たちが数人、こちらを指さしている。
「革命軍のサボ!!!3億ベリーだ!!!」
誰かがそう叫び、
「そうか。おれ、賞金かけられてたんだっけか」
今思い出したとでも言うように、名指しで呼ばれた本人がのんびりと呟く。
あんなに大々的に指名手配されといて、よくまあ忘れられるもんだ。もうこの男が何を言っても驚くまいと思っていたけど、それでもやっぱり口が開いてしまうのは仕方のないことだった。
彼は、後ろで呆れるあたしに一切気づかない様子で、その手にボウッと炎を灯らせる。それから、ふと口を開いた。
「そうだ。アウラ、さっきの話の続きだが。おれとルフィがコリーダコロシアムに出場したのには、ちゃんと理由があるんだ」
「ええっ?今はそんな話してる場合じゃ…」
「まあ聞けって。あの大会の優勝者はな、ある景品を手に入れることができるんだ」
「……景品?」
武器を持って近づいてくる剣闘士たちを見てやきもきしながら聞き返すと、サボはどこまでも呑気にあたしを振り返り、ひらひらと右手を振る。赤い炎を灯した、その手を。
さっき、彼はなんて言ったっけ。
そう、たしか…。
『メラメラの実を食べたの!?』
『ついさっきな』
……まさか。
「景品って、まさか、メラメラの実!?」
目を丸くして言うと、サボはにっと笑う。
「正解。つまり、この中で一番強いのがおれだったってことだ。お前は気楽に構えていればいいよ」
しゃあしゃあと言ってのける男。
血は繋がっていないみたいだけど、その笑顔はどことなく、ルフィに似ていた。