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マリージョアの風【ONE PIECE】

第23章 ゲーム(Ⅱ)



そこは、ここは本当に地下なの?と疑いたくなるほど大きな港だった。


中央にそびえ立つのは、存在感のある巨大な管制塔。その中腹あたりからは、シャボンディ諸島にあったあの大樹の根っこほどもある太い管が、天を押し上げるように伸びていた。

視線を落として塔の麓を見る。

そこには、四方向に真っ直ぐ伸びる通路があった。通路の両側は海水で満たされている。どうやら、通路によって均等に区切られたその海のブロックが、広大な船着場としての役割を果たしているようだ。


あたしたちは、そのさらに一回り外側の通路の端から、ひょっこりと顔を覗かせ、様子を伺っていた。


「サボ、これどうする…?」

「そうだな。まずは一気に中央まで突破するか」

「冗談でしょう…?」


いや、むしろ冗談であってほしい。


あたしがそう願うのは、"中央まで突破する"のが、そう簡単じゃないことが容易にわかるからだ。



──その通路は、大小様々な戦士たちで溢れかえっていた。


ドンキホーテ・ファミリーの一味だと思われる者、剣闘士の格好をした者(おそらく、サボの言ってたコロシアムの出場者でしょうね...)、そして、見失ってしまいそうになるほど、とてもとても小さな戦士…。


それらが、武器を振りかざし、殴り合い、声をあげてお互いの命を削るために闘っているのだ。とてもじゃないけど、突破する、なんて軽々しく言える状況ではない。


これも、ドフラミンゴが始めたゲームが原因なんだろう。鋼の撃ち合う音が交易港の天井にこだまするたびに、あたしはなんとも言えないもの悲しい気持ちを覚えた。



だけどこの状況で、ただ悲しい、なんて浸ってられない。


──ウソップはどこにいるんだろう。彼のことだ。この中にいるなら悲鳴ですぐ分かりそうなものだけど…。


ぐるりと見回してみるけど、視界にはそれらしいものは入らなかった。耳を澄まそうにも、この喧騒の中にいないのであれば、さらにその奥を探るのはなかなか集中力がいりそうだ。


つまり彼を探すには、このただならぬ戦場を越えて行くのが一番の近道ってこと。


「はぁ。……行くしかないね」


覚悟を決めて、通路に踏み出そうとした時。



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