第22章 ゲーム(Ⅰ)
「だから…そう。だから、ドフラミンゴとあたしの関係は、サボが心配するようなものじゃない。ましてやそれを理由にローやルフィを裏切ることは絶対に、ないよ」
ルフィやその仲間たちは、ハートの海賊団とは同盟関係という立場で繋がっているけど、あたしはそうじゃない。さっきサボにルフィの友人だと言った言葉に嘘はなかった。
勝手に、信頼…いや、親愛に近い気持ちを抱いている。彼らがあたしのことをどう思っていようとこの気持ちは変わらないだろう。
それに。
ローはあたしの進むべき方を示してくれる人だ。
今までもこれからもきっと、ずっと、一番大切な人だ。
何があったとしても、あの人の味方であり続ける自信があった。
だから、そんな彼らを裏切るなんて、想像もつかない。
だけどそれらも結局、なにか証拠を示せたわけではないから、サボがあたしを信用しないというならもう、どうしようもないことだった。ちょっと困ってサボを見上げる。
「今は信じて、しか言えないんだけど」
だけど、彼は即座に答えを寄越した。
「いや、十分だ。信じるよ」
真っ直ぐあたしを見て疑って悪かった、と素直に口にするのを聞いて、やっぱり、悪い人ではなさそうだと思う。
「おれも血筋や血縁ってのはくだらねェと思ってるクチだからな。いくら血が繋がっていようと、一生分かり合えねェこともある」
「それは……」
そう言ったサボの瞳に今までにない陰がよぎったような気がして、小声で聞いてみる。
「…ひょっとして、あなたの家族もワケあり、なの?」
「まあ、そんなとこだ」
それって、ルフィと義兄弟になったことと、関係ある?
そう聞きたかったけど、彼はこれ以上詳しく話す気は無さそうだった。
あたしも肝心なところは流してしまってるわけだから、ここであれこれ詮索するのはフェアじゃないだろう。
そう思って、喉まで出かかった質問をグッとこらえる。
それに、街の混乱を見るといよいよこんなところで立ち話をしている場合では無さそうだった。
あたしは改めてサボを見つめる。