第22章 ゲーム(Ⅰ)
ま、それを考えるのはウソップの元に行ってからでもいいのかも。ローの考えの全部を解ろうとしたら、それこそ1から10まで説明してもらわねばならない。そんな時間は流石にないし。
「いいか、アウラ。探すのは地下だけにしろ。間違っても城の方に意識を向けるなよ」
「そんな器用なことあたしには…」
「出来なくてもやれ」
そんな無茶な、とは思ったけど、ここは黙って頷いた方が良さそうだ。
ドフラミンゴの存在を感じとっちゃいけない。あの人に関することは全部シャットアウトしなきゃだめ。
それは、あたしが一番分かっていたから。
「サボ、あたしについて来て」
隣で軽く体を伸ばしているルフィのお兄さんに声をかける。できるかどうか分からないけど、やらなきゃ。
「運んでやろうか?」
「ううん、いい。自分で行ける」
親切にもそう言ってくれた彼に、あたしは微笑んでみせる。それから、手の中で軽く空気の渦を巻き起こした。
それを見て、サボは一瞬止まってから、丸い目を細めて楽しそうに笑う。
「風、か。おれと相性良さそうだな」
「はい?」
「お前が持ってたのか。道理で見つからなかったわけだ。悪魔の実を食うならその能力がいいとずっと思っていたんだが、すでに所有者が居たんだな」
「急になんの話を…」
心なしか、さっきより距離が近くなった気がしてちょっとたじろぐと、サボはふとあたしから視線を外し、あたしのやや上、数十センチのところを見て苦笑いする。
「…信頼してくれたんじゃ無かったのか?」
「同盟を組んだのはお前じゃねェ」
「あぁ…そういうことか。弟を信頼してくれるのは嬉しいんだけどなぁ。そんなに警戒されるとこっちもやりづらいんだが」
「…知るか」
素っ気なく返事をすると、ローは何事かと振り向いたあたしに視線を落とす。
「アウラ、危ねェ真似はするなよ」
「え?あ、うん。…ローもね」
何気なくあたしの頭に置かれた手が名残惜しそうに離れていくのを見て、さっき随分心配をかけてしまったことを思い出す。だから、安心してと言う意味を込めてちょっと笑ってみせた。
だけど、次の瞬間、あたしは自分の笑顔が凍りつくのを感じた。
急激に血の気が引いていく。
……なんで、なんで気づかなかったんだろう!!