第22章 ゲーム(Ⅰ)
「──だが、もう一つだけゲームを終わらせる方法がある」
悲鳴が飛び交う中、スクリーンの中の巨大なドフラミンゴが悠々と口を開いた。一人だけ、別世界にいるようだった。
「今からおれが名前を挙げる奴ら、全員の首を君らが取った場合だ。首一つ一つには多額の懸賞金を支払う!星一つにつき、1億ベリー!!」
そう言ってドフラミンゴが消え、代わりに現れたのは、数名の顔写真だった。あたしがよく知る人物たち。
それが、馬鹿でかいスクリーンに煌々と映し出されていた。
ゾロ、ロビン、フランキー、お侍さんに、今ここにいる片足の男キュロスの顔もあった。その下にそれぞれ、一つもしくは二つの星が付いている。
さっきドフラミンゴはなんて言ってた??
星一つにつき、一億ベリー??
そして。
「各組織の"主犯格"はもれなく"三つ星"!!」
次に映し出されたのは、リクドルド3世、サボ、ルフィ、ローの4人。
「…3、億ベリー??」
あまりの理不尽さに唖然としてしまう。
ゲームを終わらせるという理由だけでは足りず、多額の懸賞金をかけてまでローたちを殺そうとするなんて。
そして今この瞬間に、3億の値がつけられた男たちが全員ここにいる。
現実味がない金額にあたしは戸惑いを隠せないけど、当の本人たちは誰一人として動揺していない。ドフラミンゴが言い出した時に大体予想はついていたのかも知れない。
そして最後に映し出されたのは、特徴的な長い鼻を持つ男だった。彼の顔のすぐ下には、5つの星が煌めいていた。
「あれってもしかしなくても、ウソップだよね…?」
ドフラミンゴの怒りに満ちた声からすると、この国の呪いを解いたのはどうやらウソップらしい。
さすが、やる時はやる人なんだなぁ。
なんてちょっと感動してしまってから、5億ベリーなんて大金がつけられた彼が心配になる。出会ってまだ少ししか経ってないけど、一緒に旅をして、彼が多額の懸賞金を掛けられて喜ぶほど肝っ玉の座った男じゃないことは分かる。
ウソップの絶望に満ちた顔で悲鳴を上げる姿が容易に想像がついた。気絶してなきゃいいけど…。
「殺るか殺られるか!お前らが助かる道は、誰かの首を取る他にない!」
最後にそう締めくくって、ドフラミンゴは跡形もなく消えたのだった。