第22章 ゲーム(Ⅰ)
あたしが複雑な思いを抱えている間にも、話は進む。
リク王と片足の男に視線をやり、サボが徐に口を開いた。
「おれはさっき、オモチャが人間になるところを見た。今の話が本当だとするなら、誰かがこの国の呪いを解いたってことか?」
あたしも気になっていたことだったから、暗くなった気持ちを無理やり追い払い、顔を上げてそちらに注意を向ける。
そうか。今の話からすると、ルフィが抱えていた片足の兵隊は、目の前のこの男がドフラミンゴによって変えられた姿だったのだ。
それが元の姿に戻ったということは、誰か呪いを解いた者がいるということ。
でも一体誰が?麦わらの一味かな。
そう思った時、ふと王宮の真上でキラリと何かが光るのが見えた気がした。目を凝らしてみると、やはりまたキラリと光る。気のせいじゃない。
「ねぇ、あれ、なんだろう…?」
見えたり見えなかったりする。だけど時折、太陽の光を反射するせいで、細長い何かがドレスローザの真上に向かってまっすぐ伸びていることが分かるのだ。
「まさか…」
あたしの隣で、ローが息を呑む。
「"鳥カゴ"を始める気か……!?」
呟きが聞こえた次の瞬間。
まっすぐ伸びたそれが、突然無数の筋に分かれた。それらは中央から等間隔に広がり、綺麗な弧を描いて島の端へと落ちていく。
「とり…かご?」
「何だそれは」
光の糸に気づいた人々が、頭上を指差してざわざわと声を上げる。
「ドフラミンゴの能力だ。この国の真実が漏れる前に、今この島にいる奴らを皆殺しにするつもりだ…」
硬い声でそう言ったローの言葉に呼応するように、細い糸は、獲物を網にかけるようにドレスローザに覆い被さる。
そして、瞬く間に、島の頭上全体が無数の細い線で覆われてしまったのだった。