第22章 ゲーム(Ⅰ)
「あ!!!サボーーー!!!!」
「ちょ、ルフィ!!どこに…」
突然、瞳を煌めかせて、ルフィがあたしの横を目にも止まらぬ速さで駆け抜けて行った。和気藹々と話す街の人々の間を器用にすり抜け…、
「うお、ルフィ!」
闘技場のすぐ近くに立っている人物にタックルせんばかりの勢いで抱きついた。
受け止めたのは、細身の男の人。
鮮やかな金色の髪に、黒いハットを被っている。
弾丸のようなルフィを軽々と受け止めたのにも驚いたけど、それよりも。
「この短時間で、一体どれだけ知り合いが増えるのよ…」
呟きながら、ルフィを追い駆ける。
ルフィが船を出てから幾らも時間がたっていない。なのに、ここまで色んな人と関わり合いになれるなんて、驚きを通り越して呆れてしまう。本当に、台風の目みたいな人だ。
近付くと、ルフィを抱えたままの金髪の人と目が合った。おや、という調子であたしを見るその人。
「ルフィの友人か?いつもうちの弟が世話になって悪いな」
「……お、とうと?」
あたし、あなたの弟なんて知らないけど。
初めて会ったんだし。
でも、今の話の流れって。
「……………ルフィが?」
「おう、サボはおれの兄ちゃんだ。血は繋がってねェけどな」
地面に降り立ち、あっさりと答えるルフィ。
あたしはぽかんとしてルフィとその隣に立つ男の人を見比べた。
ルフィの、お兄さん?
ルフィの、家族???
てっきり、兄弟はエースだけだと…。
「革命軍参謀総長、サボだ。弟をよろしく頼むよ」
「か…っ?」
突然のルフィの兄の登場に戸惑っているところに、さらに追い打ちをかけるようにとんでもない自己紹介をされて、あたしは間抜けにも口を開けたまま固まってしまう。
か、革命軍って…!!
世界政府の敵も敵、唯一面と向かって反政府を謳っている組織じゃないの!
しかもそのあとなんて?参謀総長??
ルフィ、あんたの兄弟って…。