第22章 ゲーム(Ⅰ)
ルフィの笑顔を見ると、少しほっとした。闘技場を見て怯えたことを忘れ、彼の元に駆け寄る。
「ルフィ!無事で良かった!さっきはありがとう」
ルフィはあたしを見て何でもないように言う。
「おう。お前もう迷子になるなよ」
「迷子になったわけじゃないんだけど。でも……うん。もう大丈夫」
あたしは力強く頷いてみせる。
大丈夫だよ。気持ちの整理はついた。
ちゃんと話し合ったから。
迷いのない返事に何かを感じ取ったのか、ルフィはにっと笑って、そうか、とだけ返事をした。
「ところでルフィ…」
あたしは彼の隣に立っている男の人たちに目を向けてみる。さっき、お城にいた人たちだ。
あたしがみんなと別れてから、事態が想定外の方向に動いていることには、何となく気付いていた。改めて男たちを見て、やはり、と自分の違和感に確信を持つ。
あたしが気になっているのはつまり、ルフィが持っていた奇妙な片足の人形のことだ。いわくありげな、年季の入った兵隊人形。ルフィがお城にやってきた時、彼は確かにその腕の中に人形を抱えていた。
だけど今、その人形はどこにもいない。
代わりにここにいるのは片足の大柄な男の人。
この人が現れたのは、いつだった?
人形が消えた後?それともその前?
それに、ドフラミンゴが言ってた言葉も気になる。あの時、彼は確か"呪いが解けたか"って言ってなかったっけ…。
様々な思惑が水面下で動き出しているような、不穏な気配がした。ルフィがお城に来たのは、何も、あたしだけのためじゃないのかもしれない。
この片足の男の人は一体誰なのか。
そして、そのすぐ隣にいる白髪の男性は何者なのか。
寄り道をして迷惑をかけてしまった分、あたしにも出来ることがあれば力になりたい。
ルフィにそれを聞こうととした時。