第21章 約束
「不安になったらおれに言え。いつでも思い出させてやる」
「……ローは、変わらないね」
何でもないように言うローの言葉に、泣きたいような気持ちになった。
この人がいるなら、あたしは恐れる必要は無いのかも知れない。
自分に真っ直ぐで、強い心を持って、理不尽な運命にも決して折れない人。立ち止まった時に方向を示してくれる人。
──そんな貴方が、あたしは出会った時からずっと、眩しくてたまらない。
「ありがとう。目が覚めた」
もう大丈夫。迷わないよ。
ローの顔を見て、自然とそう思う。
彼はそれを聞いて少し口角を上げた。
それから、ふと思い出したように口を開く。
「──まあ、本当のところは分からねェが。少なくともおれは、お前がコラさんと同じ血筋なのは間違いねェと思うよ」
「どうして?」
もう不安はなかったけど、あえてそう言うのがちょっと不思議に思って聞いてみる。すると、彼はあたしをちらと見下ろして、揶揄うように笑う。
「じゃねェと、その鈍臭さは説明がつかねェだろ」
「コラさんもあたしと同じようにドジだったってこと?」
「壊滅的にな。お前より酷かったかもな」
「あたしよりひどいって…」
それはもう自分で言うのもなんだけど可哀想に思える。
よりにもよって、そんなところが似てるなんて。喜べばいいのか悲しめばいいのか。
非常に複雑な気持ちになったけど、ローがあまりにも可笑しそうに笑うから、つられて笑ってしまった。