第21章 約束
彼は改めてあたしの腕を取る。
どうやら今度は本当にルフィの元に向かうらしい。
能力を広げながら、最後に彼は真剣な視線をこちらに向けた。
「アウラ、おれはドフラミンゴを倒す。それまではここを離れねェ」
「…うん」
「逃げるのも残るのも、お前の自由だ。好きにして構わねェ。───ただ」
「ただ?」
「…約束を覚えてるか」
「え?うん、もちろん」
あの夜、船の上で。
貴方があたしにくれた言葉───。
……ああそうか。
やっと分かった。
だから、あの時ローはあんなに怒ったんだ。
『──もし、それでダメだったとしても、ローが自分を責めることはないんだよ。ローは気にせず前に進めばいい。無理に守ろうとしてくれなくても…っ』
死んでも気にしないでなんて。
貴方にだけは言っちゃいけなかった。
"───死ぬな"
だから、貴方は、あたしにこの約束をさせたのね。
「なら、いい。忘れるなよ」
あたしはローの目を見返して力強く頷く。
ローは全部話してくれた。
もう、あたしを遠ざけたりしない。
それなら、あたしも貴方の信用に応えたい。
「うん、大丈夫。あたしは、ローを失望させたりしないよ」
返事を聞いて、ローは満足したようにもう一度笑った。
そして───。
───あの夜、貴方がくれたのは唯一の縛りの言葉。
一方的な、あたしだけの。
第21章 『約束』 <END>