第3章 白と赤
教えてもらった荷馬車に乗って、教会にはちょうどお昼過ぎに着いた。いや、正確には教会がある丘の麓、だ。
港には朝早いうちに到着したのに、こんな時間になってしまったのはちょっと驚いたけど。ま、それだけこの島が広いということだろう。
ジョナサンは荷馬車の中でミルクをあげたから、今はぐっすり眠ってくれている。
荷馬車のおじさんによれば、ポアロ教会は目の前の丘を道なりに登っていくと見つかるらしい。
うちの教会よりよっぽど街から離れているし、周りは自然しかないし、これはのびのびとした子供が育ちそうだ。
そう考えてミロを思い出す。
「ああなるほど。それであれね」
自然と口元が綻んだ。
実のところ、ミロに会ってからポアロ教会へ行くのが楽しみで仕方なくなっていた。
あたしはずっとマリーゴールドにいたから、他の教会がどんなのか全然知らない。そもそも、他の教会のことなんて考えたこともなかった。
だけど、世界にはあたしのような境遇の子が五万といて、そういった子たちを保護する教会も同じようにたくさんあるんだ。
ポアロ教会にはどんな子供たちがいるのかな。
ジョナサンと仲良くなってくれるといいなぁ。
「きっといいところだよね」
あたしはまたミロのことを思い出して、1人頷くのだった。