第3章 白と赤
パール島の港はミカヅキ島より少し大きかった。
ミカヅキ島へは一日1隻しか船は来ないけど、ここにはすでに2隻の船が停留している。
港から見える景色は昨夜の雪のせいで真っ白だった。
だけど、この島の人は寒さに慣れているのかみんな外に出て忙しなく働いている。
こんなに寒いのに、むしろミカヅキ島より活気があって栄えている気もした。
「教会はどのあたりだろう」
場所がわからないことには向かいようがない。
あたしは、まずは教会の情報を得るために人の多そうな街の方向へ足を進めることにした。
──街の人から聞いた話では、やっぱり教会の位置関係はどこの島も同じみたいで、ポアロ教会は街から少し外れたところにあるようだった。
躊躇いなく歩いて行く気でいたら、雪が積もっている中赤子を連れて歩くなんて冗談じゃない、と呆れられてしまった。
なんでも、1日に数回、島の反対側の街へ食材や生活用品を届ける荷馬車があるらしい。
途中で教会の近くを通るから、それに乗せてもらうのが一番早い、とのこと。
船の中でも何回か思ったけど、ミカヅキ島が温暖だったからあたしはノースブルーの冬の厳しさに少し鈍感なのかもしれなかった。