第21章 約束
土煙がいくらかマシになると、立っているのがルフィだけじゃ無いことに気づく。いや、正確に言うと立っているのはルフィだけなんだけど、彼がその手に何か持っていることに気づいたの。
「なに、あれ。オモチャの兵隊……??」
片足が折れ、見るからに年季の入った兵隊人形。それをなぜか、ルフィが抱えて立っているのだ。この場にはあまりにも似つかわしく無い。
シュールな絵面にちょっと戸惑っていると。
「何の音ですか!?!?」
「なんだ!!?」
「おい、貴様らは!!」
扉が勢いよく開き、大量の海賊たちが雪崩れ込んできた。大穴の空いた天井を見上げ驚いた顔をした後、ルフィとローを見つけてあからさまに警戒した表情になる。
「おい麦わら屋!お前、工場破壊はどうした!?」
もう一度舌打ちした後、瓦礫の中に向かって叫ぶロー。
「おっ、お前らちゃんと生きてんな。作戦は任せてきた!!!!」
あっけらかんと答えるルフィ。
それを聞いて、酷い頭痛がしたみたいにローは顔を顰める。反応から察するに、彼の作戦ではルフィはここにいるべきじゃないんだろう。
パンクハザードでさんざんルフィに振り回されたあたしからすると、ローの気持ちは分からなくはない。だけど、今のあたしは誰に何を言える立場でもなかった。
そもそもこの状況を作り出したのが自分だし。助けに来てくれたルフィにはむしろ感謝しないといけないくらいだ。
「…ロー、あの、本当にごめん」
あたしがドフラミンゴを引き留めている間に作戦がうまくいけば…なんて思っていたけど、思った以上に作戦に支障をきたしているらしい。
いよいよ申し訳なくなって素直に謝罪の言葉を述べる。ローは目だけであたしをちらと見てから、また視線を前方に戻した。
……返事をする気にもなれないみたいね。