第21章 約束
────やっぱり、だめだ。
何か裏があるに違いない。
それに、ローが奴の元に行くのが条件?…そんなの。
絶対、絶対、絶対に、だめに決まってる!!!!
「ロー!!だめーーーっっ!!!」
無我夢中で、ありったけの思いを込めて叫ぶ。
お願い、ロー。
あたしの声を聞いて。
───あの人の元へなんか行かないで!!!
叫んだ瞬間、彼はぴたりと動きを止めた。
あたしの声を聞いてくれたの?
一瞬思ったけど、間髪入れずに、
────ドカン!!!!
広間にとてつもない爆発音が響き渡り、どうやらそうじゃないと気づく。
ローがここへ来てようやくあたしの方を振り返る。気のせいかも知れないけど、彼が若干焦っているように見えた。同時に、その時手に持っていた錠をポケットに忍び込ませたような気も…。
────ドガン!!!!
また大きな爆発音がして、反射的に見上げると、天井がガラガラと音を立てて崩れ始めていた。巨大な城の破片が凄まじい音を立てて、ちょうどあたしたちの真上から降ってくる。
突然、視界に暗い影が落ちた。
思うと同時に、体がふわりと浮く。
「ひゃっ!!」
膝の裏と腰に僅かに体温を感じて。
「……どいつもこいつも勝手なことばっかしやがって」
不機嫌そうな声が聞こえた。
思わず閉じてしまっていた目を開ける。
辺り一面土煙が充満し、視界は非常に悪かったけど、流石に自分を抱えている人の顔くらいははっきり見えた。
…ああ、そうか。
だから、一瞬止まったんだ。
これに気づいて、瓦礫の落下地点を避けるために。
ついでに、こうしてあたしも拾ってくれた、と。
ガラガラとまだ落ちてくる瓦礫たちがさらに粉塵を舞い上げる。さっきまでの荘厳な広間はどこにもなかった。
「けほっ…、どうして……?って、えっ?」
「……チッ」
あたしが何が起きたのか全てを理解したのは、あたしを抱きかかえたローが、落ちてきた瓦礫の中によく知った顔を見つけ、容赦なく舌打ちしたのが聞こえてからだった。
「トラ男、ゆきんこ無事かーーーーっ!?!?」
────ほんとに。
あなたにはいつも驚かされてばっかりよ、ルフィ。