第3章 白と赤
パール島の港に到着すると、船内は急に慌ただしくなった。港に集まった人と協力して、次々に積荷を下ろしていく。
「帰りは大丈夫か?」
みんなにお礼を言って船を降りようとすると、ドレーフがぶっきらぼうに気遣ってくれた。本当にどこまでも優しい。
「うん、次の船が出るまでは教会でやっかいになるよ。金もあるしなんとかなると思う!」
行きの分がいらなかったからね。
しかも帰りは気楽な一人旅だから、何日かかっても問題ない。どうとでもなる気がする。
そう言って笑うと、ドレーフも納得したようだった。
「じゃ!本当にありがとう!」
最後にもう一度みんなに礼を言う。
「トラー!教会のみんなによろしくなー!」
ミロが奥から叫んでる。
それに返事をしながら、元気よく船を降りた。
3日もお世話になると別れが寂しいけれど、彼らがこの船に乗っている限りまたミカヅキ島の港で会えるだろう。
やっぱりいいなぁ。
海に出るのは。
あたしはミカヅキ島で待つしかできないのがちょっぴり悔しい。
またこっちから会いに行く!って言えたらいいんだけど。
そんなことを考えながら、腕の中のジョナサンを抱え直す。
やっとパール島に着いた。
無事にジョナサンを送り届けるまでもう一踏ん張りだ。