第20章 遺書
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手紙はそこで終わっていた。無意識のうちに、あたしはそれを持ったままその場にうずくまっていた。
──そうだ。あの日は。
4年に一度開かれる世界会議の日だった。
『……──もう一度お会いできるなんて……っ』
あたしはあの日、この手紙と共にロシナンテに預けられて。
『どうかっ…どうかこのお方を』
──あなたも一緒に来てほしかったのに。
『わたくしのことはお気になさらず…ええ、ここのことはよく知っています。……うまくやりますわ』
──うそだ。
違う。うまくやるだなんて、そんなの嘘。
だって、生き延びるつもりならこの手紙にこんなタイトルをつけたりなんかしないでしょう。
『ごめんなさっ……っ、ごめん…ねっ……』
──"遺書"だなんて。