第20章 遺書
さらに数年が経ちました。
私が20になる少し前の頃のことです。
一度噂話があったことも忘れてしまうほどの時間を置いて、再びその研究について情報が入ってきました。
それは、あまり気持ちの良い噂ではありませんでした。
研究所で人が死んだらしいのです。
それも、年端もいかない子供が、大勢。
パンクハザードには多くの子どもたちがいて、一度に数十人、いえ、数百人だったかもしれません……とにかく、とてつもない数の子供が突然死んだ、と言うのです。
行われていた実験のせいだったのかどうか、因果関係は定かではありません。しかし、多くの研究者がその事件の後にパンクハザードを去ったそうです。
Dr.ベガパンクが関わっていたのか。
その後彼も島を去ったのか。
それについてはとうとう最後まで分からぬままとなりました。なぜならその後、島で行われていた実験について噂が流れてくることは一度もありませんでしたから。
そして、事件から数年経ったある日。
この日記を書き始める直前に。
──お嬢様がマリージョアにやってきました。