第3章 白と赤
そんなドレーフよりよく話すようになったのがミロだった。
聞いていた通り、彼は人懐っこく誰にでもすぐ打ち解ける性格で、すぐに向こうから話しかけてきた。
「おまえ、おれの故郷目指してるんだってな!」
明るいオレンジ色の髪にはどうしたらそんなにつくの?と聞きたくなるくらい寝癖がいっぱいだ。
「故郷?君、パール島出身?」
驚いて聞き返すと、ブンブン音がしそうなくらい首を縦に振る少年。
よくよく考えてみれば、そんなに驚くようなことでもなかった。
この商船は王国中の島を巡っている。
だから、乗組員の出身島がその内の一つだったとしても別におかしくはない。
そりゃそんなこともあるかってなもんなんだけど、奇遇なのも確かで、思わずしみじみと少年を見てしまう。
「そんでわざわざ何しに行くんだ??」
少年の方も同じく不思議なようだった。
腕の中のジョナサンとあたしを見比べている。
観光?ではないよな、と真面目な顔でぶつぶつ呟くのがどうにもおかしくて。
「ああ、島の教会に用があってさ。この子、孤児だから。引き取り手を探してるんだよ」
笑いながら答えると、ミロは面白いくらい目を丸くした。寝癖がぴょんと揺れる。
「教会?ポアロ教会か!?本当に?」
こっちがびっくりするくらい露骨に驚く少年。
あたしも思わず目を瞬かせる。