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マリージョアの風【ONE PIECE】

第19章 ドンキホーテ・ロシナンテ




こんな小さい島でガキ1人見つけるくらい造作もねぇだろうと高を括っていたが、それが甘い考えだったと気付くのは意外と早かった。


一度街に入ってみたものの、よく考えてみれば教えられた情報は、"足首に飾りをつけてる"ということだけ。通りすがる人の足元を見たところで、服の上からじゃそんなもん付いているのかも分からねぇ。


背格好は分からないにしても、せめておよその年齢や外見の特徴さえ分かれば見つけようもあっただろうが…。


捜索は早々に諦め、こんなことならもっと詳しく聞いておくべきだったと、街から少し離れた丘の上で人々を眺めながら思わず舌打ちする。


街で聞こえてきた話ではこの島にはもう一つ小さな街があるようだった。だが、行ってみたところで結果は同じだろう。徒労に終わるのが分かるだけに、わざわざ出向く気にはなれなかった。





早々に街から避難したのは実は他にも理由があった。それは、上陸してからずっと感じている違和感。



──…この島はどうにも居心地が悪い。



丘の上からも、和気藹々と話す街の人々がやけに目についた。


島中の人間が親戚かと思うくらい気安く接してきやがる。歩く度に見かけない顔だと声がかかり、どこから来たんだと質問が飛んでくる。


間違っても余所者を排除する雰囲気ではないが、異端視されてきた人間にとってはここまで友好的だと居心地が悪く感じる。あまり長居はしたくないと思うのも無理はない話だった。



「本当にこの島にいるのか…?」


ノースブルーの端に位置する無数の島から成る王国。その島のうちの一つ、王都からも遠く離れた、地図に書き忘れてもおかしくないぐらいの小さな島。


俺の知る限りでは、あの人に縁もゆかりも無いはずだった。そんな島に自分の妹を置き去るか?普通。



考えながら、街の様子を見るともなく眺めて、ふとその街から一本道が伸びていることに気付く。今いる丘の麓を通るそれは、街から外れて平野の方へ続いていた。島の形状を考えると、三日月の角の方へ伸びているようだった。


少し迷ってから、能力を使って一気にその道の先に飛ぶ。


別に明確な理由があったわけじゃない。
只の気まぐれだった。




その道の先に、人生を変える出逢いがあるとは露ほどにも思っていなかった。



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